夜は本にきまっています。本がなければ

何千何万の夜をどうやって越していけばいいのやら。

パゴダさんがいうには、昼は緑、夜は本、とか。

夜と本は切っても

切れない間柄。

 

精霊〜ジン〜の島へようこそ。

アーモンドにオリーブ、ヒマワリ、海に、灯台に、赤いヨット…

ジンたちは島で生き生きと暮らしています。

ロップはジンの女の子。ジンは人間にとりつくものだけど、

ロップはまだとりついたことがありません。

どうやってとりつくのかも知りません。

“あたしがとりつくにんげんって、

どんなかなあ” 

ロップのふしぎな髪かざり

新藤悦子 講談社


 ブックデザイン ・脇田明日香

本・・・・

ときどき

絵・・・・

これは台所道具のおはなし絵本です。

なべにフライパンにおたまに、わたしたちは

たくさんの道具に世話になっています。

せっせとはたらいて、もんくもいわず、 でしゃばらず、

たよりがいがあって…そんな道具たち、

たまにははねをのばしてたのしんでほしい。

ココと

おおきなおおきなおなべ

え ・おざきえみ 教育画劇

わらうきいろオニ

梨屋アリエ 講談社


ブックデザイン ・脇田明日香

この小さなオニの子は、ツノが3本もあって、色も赤でも青でもなく「きいろ」。

オカシイといわれたってなんだって、そうなんだからしかたない。

とくいはお手玉で、七つもいっぺんにまわせます。

たのまれればお手玉をいくらでもやってあげます。

みんながたのしんでくれればうれしいし。ひとりでいるよりはまし。

だけど、なんでかな。そうしてるうちに、おなかがだんだんでっかくなって、

たぷたぷふくらんで……可笑しいんだか、せつないんだか。

きっと身につまされる人とそうでない人、同じくらいいるんだろうな。

さよならのドライブ


ロディ・ドイル作

こだまともこ訳 フレーベル館


ブックデザイン ・城所潤

アイルランド・ダブリンに住む12歳の女の子、メアリー。学校は「バッカみたい」だし、たったひとりの親友は引っ越してしまうし、大好きなおばあちゃんは病気で死にそう。なにもできないし、しちゃいけないの。

現実ってそんな、どうにもならないモヤモヤの連続だけど。とこへ、ひいおばちゃんタンジーの幽霊(!)が現れて。

コマッタことに愛があるほど別れは辛い。

でも辛いからとごまかしてしまうのは怖い。

優しさと勇気とユーモアにあふれた4代の女性たちの

物語。死と別れを描きながら、

ひとりじゃない、あたたかさにジンジンしました。

ひいおばあちゃんの幽霊に

出会ったのは、

古いトチノキの木の下。

ツツミマスさんと

3つのおくりもの


小峰書店

さかのぼること数年前、なにになりたい? それはね…という妄想職業図鑑のような、

小話集をつくった。「ツツミマスさん」はその中の1つで、他に「シラベマスさん」とか、

「トドケマスさん」とか……。 12の少しオカシナ職業。どれも何かにとりつかれて、

仕事が服を着て歩いているような職人かたぎの。

「ツツミマスさん」はその名の通り、つつむことにとりつかれて、

ただただつつんでつつんで、つつまれて、

暮らしていきたい、それだけなんです。つつめれば、ごきげん。

無上の喜び。紙や布や箱や紐やリボンでいっぱいの店で、ひとり、

「これ、つつんでくれる?」というひとがくるのを、

つつみながら、待っています。

「つつむ」って不思議。

〜つつむと、きっと、何かが変わる

ツツミマスさんは、そう思っています。

つつんでもらった人?

つつんだもの?

それは、つつんでみてのお楽しみ。

チキン!

いとうみく・作


文研出版

いいたことはなんだって言うし、

まちがったことはだいきらい。

まっすぐに相手をみて、

ごまかしのない、まるでヒーロー。

そんなかっこいい女の子が主人公。

でもどうしてだろう、ヒーローって、

そばにいると、正直うざい〜んだなあ。

魔女のレッスンはじめます

長井るり子・作


ブックデザイン ・岡本歌織

出版ワークス

おひさまののみかた、とか、むかしもりのおちゃ、とか、

ふしぎなレシピがいっぱい。描いていると、「食べたい食べたい」。

1冊描きあげるまでに、すっかり太ってしまった。

もちろん魔女もちゃあんと出てくる。

フィンランド映画『ヘイフラワーとキルトシュー』を

また観たくなった。

ダジャレーヌちゃん

世界のたび

林木林・文


ブックデザイン ・

倉科明敏(T.デザイン室)

303BOOKS

今夜の本にこんな物語をどうぞ

注意書き〜

かなぼうショップの

あまのじゃくは音楽家で、

歌もつくれば、

路上ライブもやります。

一緒に歌いたい方は

巻末に楽譜が付いています。

不思議屋 風待ち

西村友里・作


文研出版

古いステンドグラスのはまった

窓まど…ギャラリー「風待ち」。

不思議な七つの絵には、どれにもいわくがあって、

実は物語への入り口です。

じっとみれば、「あ、動いた!?」

そう、絵のなかは、風も吹けば、雨も降る。

猫も動けば、翼羽ばたくのです。知らなかった?

それは日々忙しなくしすぎ

だからでしょう。

おうちずきん

こがしわかおり 文研出版


コのめで、じっと街ゆくヒトビトをみている女の子。

ひがくれれば、ヒトビトはみんな、おうちにかえります。

でも、女の子には、かえるおうちがありません。

きたきりスズメで、もっているものといえば、

ふるぼけた、おおきなずきん。

でも、女の子は、おうちをもつヒトビトを

うらやむだけじゃあない。

あたしのおうちはきっとある!

まだであえてないだけ。

くちびるをかみしめて、そうしんじているんです。

ダジャレーヌちゃんは、由緒正しきダジャレ家系の娘。

ダジャレひっさげ、空飛ぶトランクのトラさんと相棒のコトリンと、

世界でダジャレ腕だめし。

ダジャレをさけべば、世界中の人がダジャレで返してくれます。

ダジャレーヌちゃんいわく

「ダジャレって、世界一短い詩でもあるんだなあ。

あたしは旅する詩人。吟遊詩人よ」

いっしょに世界旅行をしてすっかりヘトヘト。

でも世界中に知り合いができたから、まあいっか。

森のポストを

あけてごらん

山中真理子・作


ポプラ社

森を木を自然を描けるのは幸せです。

長く生きると、生きていくのに必要なものは、人間以外のものたち。

おさないころにもう、草木や虫、鳥や流れる水、風や雲〜

なんでもなくいてくれるものが、いちばん大切で、安心で、なによりも美しい、ということ、

わかっていたはず。この世でもっとも美しかったものは、雑木林や、屋敷林などの

樹液したたる大木の下生えに集まる虫たち、きのこ、野いちごの実、

シダに、アオイ…のぞきこんだ瞬間! (ああ、ああ)宝石箱みたい。

近頃の研究で、植物は、しゃべるそう。「ああ、そんなこと、わかっていたよ」ですね。

木は、いつでも、葉っぱの手紙をくれているのです。

読まずに捨てているのは、ヒトの方で。いつかその大切さに気づく。

そう、おもいます。

迷子

松山真子・作


四季の森社

『だれも知らない葉の下のこと』に続く、

松山真子詩集第2弾です。

本を開くと、金平糖みたいな小さな光が飛び、プチプチチャワチャワ

小さな声がたえまなくしています。誰か迷子になったのかな?

山賊娘の刀にはしずくがきらめき、やまんばがおにぎりをたべていたり、

狼が涙をこぼし、小鬼はほくそ笑んでいるし、カラスが蝶ネクタイをつけて、と

たのんできたりします。苔がおしゃべりしたり、リンゴの木が

ほおづえついていたり… あなたはただ開くだけでいいのです。

山賊娘は、街では「迷子」になるらしい。たぶん、やまんばもね。